私たちの健康に欠かせない栄養素のひとつ「カルシウム」
「骨を強くするミネラル」というイメージが強いですが、実はそれだけではありません。
今回は、カルシウムの“善玉”と“悪玉”の違い、そして健康的に摂取するための大切なポイントをご紹介します。
✅ カルシウムは命を支えるミネラル
体内のカルシウムのうち、99%は骨や歯に存在しています。
しかし、残りのわずか1%は、私たちの生命活動に深く関わる極めて重要な働きを担っているのです。
たとえば:
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心臓の拍動:カルシウムが筋肉に「収縮」の信号を送ることで動いています
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神経伝達:神経細胞間の信号のやりとりにカルシウムが使われています
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血液凝固:傷口をふさぐための血液の固まりを作る役割
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ホルモン分泌の調整
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免疫のサポート:白血球の活動を助けます
このように、カルシウムは“骨の材料”という役割にとどまらず、全身の健康と命を支える必須ミネラルなのです。
✅ 善玉カルシウムとは?
これは、適切に吸収されて骨や歯、筋肉、神経などの健康維持に使われるカルシウムのことを指します。
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マグネシウムやビタミンD・Kとバランスよく摂取されることで、骨にしっかり届く。
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血中濃度が適正に保たれ、動脈や臓器への沈着を起こさない。
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イオン化カルシウムとして活躍し、神経伝達や筋収縮、ホルモン分泌などに使われる。
❌ 悪玉カルシウムとは?
これは、体内でうまく利用されず、逆に体に害を及ぼすカルシウムのことを指します。
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過剰摂取や吸収不良により、血管や関節、臓器に沈着。
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動脈硬化、腎結石、石灰沈着性腱板炎などの原因に。
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マグネシウム不足の状態では、カルシウムがうまく使われずに“迷子”になる。
❌ カルシウムが「悪玉化」するのはこんな時:
状況 | 解説 |
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マグネシウム不足 | カルシウムと拮抗関係にあるマグネシウムが足りないと、カルシウムが過剰に働いてしまい、筋肉のけいれんや血管の石灰化が起こる。 |
ビタミンD・K不足 | カルシウムが骨に届かず血中や軟部組織に迷子になり、結石や動脈硬化の原因に。 |
ホルモンバランス異常(副甲状腺機能亢進など) | 血中カルシウム濃度が高まり、骨からカルシウムが溶け出すことで血管や臓器に沈着。 |
腸内環境の悪化 | カルシウムの吸収・代謝がうまくいかず、余ったカルシウムが排出されずに蓄積。 |
カルシウムの不足による悪玉化! カルシウム・パラドックスとは?
どういうメカニズムか?
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食事などからのカルシウム摂取が足りない
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血液中のカルシウム濃度を維持するために、骨からカルシウムが溶け出す
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一時的に血中カルシウム濃度が高くなる(でも骨はスカスカに…)
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この“余った血中カルシウム”が行き場をなくし、血管や臓器に沈着
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動脈硬化・腎結石・石灰沈着性腱炎などを引き起こす
この現象が起きる背景
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ビタミンK2の不足
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マグネシウム不足
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副甲状腺ホルモンの作用
✅ カルシウムを安全・効果的に摂取するコツ
健康的に“善玉カルシウム”を摂るための3つのポイントをご紹介します:
① 食品から摂る
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小魚(煮干し、しらす)
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海藻(昆布、ひじき)
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緑黄色野菜(小松菜、ブロッコリー)
② マグネシウムを一緒に摂る
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アーモンド、玄米、納豆、ほうれん草などを意識して摂りましょう。
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理想の比率はカルシウム2:マグネシウム1
③ ビタミンDで吸収率UP
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日光浴や、サーモン・サバなどの魚もおすすめです。
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ビタミンDが不足すると、カルシウムがうまく利用されません。
✅「善玉カルシウム」にするためのコツ
ポイント | 内容 |
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マグネシウムをしっかり | 海藻、豆類、アーモンドなどと一緒に |
ビタミンDを確保 | 日光浴 or サプリ |
ビタミンK2も意識 | 納豆・発酵食品など |
⚖️ 過剰摂取を避ける | 「乳製品が主食」のような食生活は避ける |
✅ 乳製品のカルシウム=必ずしも悪玉ではありません
ただし、摂り方と体内環境次第で「悪玉化」する可能性があります。
✅ 乳製品のカルシウムの特徴
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主成分は カルシウム(主に乳酸カルシウムやリン酸カルシウム)
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吸収率は中程度(約30%前後)
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タンパク質や脂質、リンも多く含む
❌「悪玉カルシウム化」するリスク
条件 | 内容 |
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マグネシウム不足 | バランスが崩れ、カルシウムが沈着しやすくなる |
ビタミンK2不足 | 骨に届かず血管に沈着 |
過剰摂取 | リンがカルシウムの吸収を阻害、さらに清涼飲料や加工食品と組み合わさるとリスク上昇 |
牛乳タンパク(カゼイン)感受性 | 腸に炎症が起こり、カルシウム吸収効率が低下 |
❗️サプリメントのリスクを示す研究結果
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アメリカの研究(12年間・約38万人対象):カルシウムサプリを摂取していた男性は、心血管疾患による死亡リスクが増加
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フィンランドの研究:カルシウムサプリが骨折リスクを減らすどころか、逆に増加させている可能性
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血中に過剰なカルシウムがあると、血管の柔軟性が失われ、動脈硬化が進行
✅ 善玉カルシウムと⚠️悪玉カルシウムの違い
種類 | 摂取源 | 体内での働き |
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善玉カルシウム | 小魚、海藻、緑黄色野菜などの食品 | ゆっくり吸収→骨や歯に届く |
⚠️悪玉カルシウム | サプリメント、乳製品中心の摂取 | 吸収が早すぎて臓器や血管に沈着しやすい |
まとめ
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乳製品のカルシウムそのものが悪いわけではありません。
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しかし、現代人にありがちな「カルシウムだけ偏って多く摂る生活」が「悪玉カルシウム化」を招く要因になります。
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✅「カルシウムが足りないからサプリをどんどん飲もう」ではなく、
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✅「骨に届くための“栄養バランス”を整えること」が大事!